7月1日。
私たちの会社「奄美ICT株式会社」が、この世に生まれた。生まれたばかりの、小さな会社で働くスタッフは、私(前田守)と山田卓矢さんの2人。右も左も分からないところから、手探りで会社を整えている。7月15日には将来のために就業規則も整えた。そして、禧久明子さんが入社してくださった。
8月に入っても、この小さな会社を「一人前の会社」にするために、もがいている。
7月下旬から始めた「奄振延長のための政策提言勉強会」は佳境を迎えている。あとは奄美市の優秀な職員のみなさんが、政策提言のとりまとめを行うばかりとなった。8月19日は大臣官房審議官の門野秀行さん一行の聞取調査に協力した。8月26日には今年度の「
奄美ミュージアム推進会議」が開かれる。3ヵ年、委員を務めるこの会議も、今年が最後の年となる。
8月14日。
経済産業省の「
地域商社的機能の検証」事業に、奄美ICT株式会社が選ばれた。この事業は、日本の地方が抱える課題のうち、もっとも切実なもの。すなわち、地方の魅力ある産品を、適正価格で流通にのせるための検証事業だ。応募も全国で99社と、地方の意欲ある企業が多数応募している。そのなかで、私たち奄美ICT株式会社のような、設立後1ヶ月足らずの会社が選ばれたことは異例だと思う。
8月20日
(財)日本視聴覚教育協会主催の「
平成20年度 全国自作視聴覚教材コンクール」で私が監督を務めた郷土教材映画「愛加那~浜昼顔のごとく」が審査委員会特別賞を受賞した。9月19日の表彰式を待たないと論評は分からないが、とにかく、本作品は「群を抜く質の高さ」が評価されたとお聞きした。たくさんの人々の想いで出来た作品だけに、全国的に評価されたことがとても嬉しい。奄美新聞のO記者さん、南海日日新聞のH記者さんがさっそく取材してくださった。「奄美でもできる」というメッセージが、シマの人にも、内地の人にも、伝わるのではないだろうか。龍郷町では受賞記念の上映会も実施されるそうだ。
8月21日。
奄美王国と日本郵政のタイアップ「クリスマス企画」の商品開発に励んだ。前川水産の前川さんと貝細工のパッケージを話し合った。
8月22日。
家内と結婚して9回目の記念日。この日が経済産業省へ提出する書類の締切日。補足資料とあわせて20の書類を間に合わせた。この1ヶ月の間に、家内は交通事故に遭い、むち打ち症のリハビリをしながら仕事を続けている。奄美ICTが出来て2ヶ月。家内は16年続けた児童指導員の職を辞し、しばらく育児に励むこととなる。まだ先は分からないが、いつかは、一緒に働くことになるかもしれない。
36歳。
私と山田卓矢さんは小学・中学と同級生だった。そんな2人で立ち上げた会社だ。霞ヶ関の職員さんに電話をする時は、とても緊張する。でも、地域商社的機能の実証は、夢のあるチャレンジだ。山田卓矢さんはこれから半年の間に東京で40泊以上の出張を経験する。都合10回の上京だ。そこで得られる知識・技術・ノウハウを、奄美の地域生産者のみなさんにフィードバックしていく事になる。関係機関と島内の研修、生産者のみなさんへの密接な訪問は私が担当し、禧久さんが私たちをサポートする体制で、この事業に臨む。
事業の展開を鑑みると、今秋には新たな人材を雇用することになるだろう。働く場が多くはない奄美大島で、たとえ規模は小さくても、雇用の機会を提供できるのは企業にとっての責任であり、喜びでもある。
生まれたばかりの小さな会社。
いま、大企業と呼ばれる企業も元をただせば、名も無いところからスタートしているのだ。私たちもかならず「一人前の企業」となって最適な規模で事業を展開していく。
旺盛な資金需要と、新たな雇用を生み出す起業は、地域の活性化には必要不可欠なものだ。いま、私たち「奄美ICT」は、規模は小さなものの、この奄美の地で、しっかりと生きようと、もがいているところだ。
・全国自作視聴覚教材コンクール受賞作品(前田守監督作品)
郷土教材映画「愛加那~浜昼顔のごとく」